7月29日 晴れ
山小屋の朝は早い。
私にとっては朝の4時起きはいつもの日課。
4:40に太郎平小屋を出発。
山友さんと夜明けの空。周りが明るくなるまでヘッドランプを点けて歩きます。
ニッコウキズゲは最盛期は過ぎている様子でした。
午後からお天気が崩れる予報。
太郎山2372mに向かって歩きます。谷には雲が流れて雲海となっていました。
ヨツバシオガマ
ニッコウキズゲ
標高を上げていくと植生が変わり、チングルマが咲いていました。朝露で花弁が光る様子を見たのは数年前に登った白馬岳以来。
このあたりはチングルマの群生です。
雪が所々残っていますが、雪解け後すぐにに高山植物は開花します。花が見られる時期は1週間〜2週間程度と限られます。
北ノ俣岳2661m
このあたりの笹薮の茂みから『オーゥ、オーィ』と声がします。母熊が子熊を呼ぶ声でしょうか?
昨年から熊との遭遇は姿が見えないのも含めて度々ありましたが、母と山歩きを始めた頃よりも増えてきてしまったのだと思います。また山にブナの木や高山植物などの実が無くなって里に降りてきて農作物を荒らすようになってきているとのことです。
異常気象や人の手が入り過ぎた山は荒廃を辿ることになります。山で働く方の努力で自然が保たれていることもあります。
家づくりをする際に原木を見に行くこともありますが、林業家の方々が管理している山は樹木だけではなく他の生物とのバランスが取れているように感じます。
遠くの山々が見渡せるほどの良いお天気。
黒部五郎岳の肩まで歩けばあともう少しと言う母の話を聞いて、ゆっくりペースながらも前に進みます。
(しかし、この後に黒部五郎の肩からカールを通って黒部五郎小屋まだの道のりがかなりあることに気づく)
後ろから来て追い越して行ったのは、山岳救助パトロールをしているお兄さん。
折立登山口から黒部五郎岳まで行き、折立に日帰りで戻ると言っていました。私達が黒部五郎肩までを登っている時にまたお会いして『肩まではあともう少しだから、頑張れ!頑張れ!』とお声かけいただきました。
今日の目的地はまだまだずーっと先。
北ノ俣岳超えたら、赤木岳2622m、中俣乗越2458m、黒部五郎岳肩2650mの登り返をして歩きます。
黒部五郎肩に母を置いて、山友さんと黒部五郎岳2839mをピストン。母は父と登って居ますから、今回はどのピークも縦走で踏まない以外は登りません。
三角点と頂上を踏んで戻る。荷物をデポしたので楽々。
黒部の奥地でカールの続き。
谷のところに出て、雪渓を眺めながら休憩。
地図を見るとまだまだ黒部五郎小屋は先でした。
下も登り返しも登山道の幅員が35cmもなく片側は切れている崖。山岳救助隊の方に、ここで30m滑落事故もあったので気をつけて歩いてくださいと言われて写真も撮る余裕もなくひたすら歩く。
後ろから歩く母と山友さんを気にしながら。
山友さんはソロでも歩く方なので心強いです。夏はもっぱらアルプスを歩きたいという方なのですが、他の山域もお付き合いくださるのでありがたいです。
暫くは沢を渡ったり岩場を歩いて、小屋に到着が遅くなることを伝えようと電波が届くところでお電話すると…
なんと予約が入って居ませんとのこと!
1ヶ月間違えて予約していたことに後で気がつきましたが、小屋では翌日のお天気不良から空いてるということで快く受け入れてくださいました。
沢歩きから小屋までにまた登り返しがありますが、木の根の上を腰を屈めて歩くようなところで凄い樹林帯でした。
小屋が見えてホッとしましたが、見えてからも40分くらいかかって到着。
この日は11時間(休憩1時間42分)という、かつてない記録を更新。母は遠くて長くて大変と言いながらもまだ歩けそうでした。この山域は母は父と全て登っていますが、黒部五郎肩〜黒部五郎小屋まで歩き通すのは初めてとのことで、歩いている人も少ないような感じがしました。
続く