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夏祭りと古民家再生

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仕事の帰り際に夏祭に遭遇。
大宮駅での恒例の行事ですが、今年は秋口には武蔵一宮氷川神社での明治天皇御幸150周年祭があります。
天皇家とは所縁が深く鎮座する社です。
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この光景を見ますと、夏本番という気持ちに。
梅雨が明けてから、非常に暑い日が続きますね。朝から、既に30度を超えて居ます。

4年前の今頃…ちょうど古民家の建て主さんの現場調査に入った記憶があります。
その前の年に奥様からホームページからお電話をいただいて問い合わせがありました。
暫く連絡が無かった期間を置いて、お電話頂いて少し先の月に事務所でお会いしました。

ご主人に話をする機会を伺って、話をしてご夫婦で来られたのは半年後だったと記憶しています。
ハウスメーカーからの建替え、新築としての提案で敷地調査報告書や図面などがありました。
地盤調査や敷地測量、既存建物の屋敷内の配置図を書かれて居ました。

新築でも、ハウスメーカーでさえここまでの調査を行なっていることを知りました。
ただ、奥様のお気持ちは出来れば再生したいというお気持ちだったかと思います。
多くの古民家での話を聞いて居ますと、そこで生れ育った方のほうが再生という気持ちになって居ない事が多いような気がします。

それは、寒いし、暑いし、暗いというこれまでの古民家のイメージがあるからで、工事着手して工事が始まるとそのような心配も無くなり、変わっていく生家を楽しみに毎日現場に眺めにいらっしゃることが多くなります。
何よりも周りに住むご親戚にもとても喜ばれますから、やり甲斐があります。


無垢の材を使用し、再生するので、後々の問題に発展しないようにするには、木の扱いに慣れた職人を入れることが重要です。

年を越して、翌年に正式に依頼していただいて夏に調査に入ったので天井裏の気温は40度を超えて居ました。
建具や、柱、梁の寸法なども全て採るので、その期間は2人で2ヶ月程度。既存図として、軸組み図と平面図を作成。
他、建具表になります。
しっかり再生するには此処までの作業が必要ですが、これだけの手間がかかるので真っさらな敷地に計画するわけではないので、費用がかかります。

室内の材料を変えたり、材を取り換えて間取りを少し変えるリフォームであれば、それは再生ではないのでそこまで手間をかけてしっかりと既存図を描く必要はなくなります。

どこまでやりたいか?は建て主さんの気持ち次第になると思います。
古民家という場に佇むと故人の想いが伝わってくるような気持ちになります。
建て主さんの御先祖にひとこと、これから先もずっと受け継いでいけるように見守ってくださいと心の中で、お願いしてから始めます。

しっかりと再生した建て主さんの家は、再生から丸4年が経ちますが、床板なども隙間は生じず材の狂いもひとつもありません。
それは、木の管理をしっかり出来る建具屋から出してもらった材だからかも知れません。
建具は一番住宅の中で使う、触れる頻度が高いところです。
そこに不具合があると、当然ながらクレームになりますから、建具屋が使う材はよく乾燥させて職人が木の面倒をよく見た材ということになり、狂い難いのは確かです。

繊細な格子も作るのが建具職人ですから、無垢材だからといって感想収縮するからと言っていてはおさまりません。

古民家は特に表しになっている柱梁は全て構造材です。その間は建具ですよね。
建具は日本家屋にはなくてはならない存在であったはずですが、きちんと作ることが出来る職人が少なくなったと思います。
これは、私の意見だけではなく、国宝などの文化財も手掛けている親方の話でもあります。

手間暇かかるからコスト高になるというのは昔の職人であれば普通に出来ていた事が出来なくなってきているということの表れでもあるそうです。要は技術力の低下に伴い、きちんと作るには時間がかかるということです。

先の建て主さんの家の再生に入って頂いた棟梁は、5人工くらいの技術料ですが、普通1ヶ月かかかるような仕事も1週間程度で行うスピードです。
判断力に優れている事やこれまでの経験値から対処の仕方がわかります。西岡棟梁の元で18歳やもっと若い頃から修行を積んで鍛えたと聞いたような記憶があります。

西岡棟梁とは、著名な宮大工です。
私が所属する会に、一番弟子だった方がいらっしゃいます。

再生したあとの住み心地が聞きたい方は、当事務所に依頼することを決める時に建て主さんの了承が得られれば案内します。
ただ、聞いてみたいという問い合わせがありますが、全てお断りさせて頂いてます。
取材等は、また別に要ご相談ということで。

ほんと、暑くて調査に協力していただいた方がダウンして翌月寝込みました。
暑い夏が来る度に思い出しますが、あの時よりも確実に暑いと思います。。。


by atelier-kirara | 2019-08-02 01:19 | 仕事諸々 | Comments(0)

日々の暮らしや建築のことを書いています。お付き合いいただければ幸いです。


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