プレカットと手刻み
2019年 04月 09日
今年最後の花見は、同じ県内で設計事務所を開設している友人の事務所で。
埼玉県と東京都で設計活動している建築家数名。何時もの勉強会メンバーです。
もちろん、仕事の情報共有もして居ます。
写真は、わが家の近くのサイクリングロード。
川や池があり、カワセミなどの水鳥を見ることが出来ます。
桜を観ていて思う、お施主さんの家は今回フローリングはカバザクラにして居ます。
ナラなどが一般的ですが、木目や色味などから選んでいます。
これまでは、構造体もずっと大工さんに手刻みしていただいて居ましたが、今回は12年ぶりにプレカット。
頭がすっかり手刻みの加工になって居ますので、これは当たり前なんだと思えるようになるのは時間がかかるかもしれません。
最近は、追いかけ大栓継ぎはプレカットでも出来ると聞いて居ましたが、出来ないのが通常。
よって、鎌継になってしまいます。
これをプレカットに取り込もうとすると、手加工と機械で両方することになり、めんどくさい事になるようです。
この継手を取り入れるなら、そもそも、最初から全て手刻みをしてもらったほうが面倒ではないかと思ったりします。
プレカットは、ほとんどが金物に頼る継手で、構造計算上もオッケーですが、なのでこれで建てられている住宅が今の標準です。
継手などは、計算にはのってこないので評価されない部分。ですが、木造を家づくりで主体としてきた日本は、継手などについては色々な種類があるのは、モノが大切だった時代に建物が少しでも長持ちするように大工が作り出した工法であるとも言えると私自身は思って居ます。
これから、いつ地震がきてもおかしくないと言われている時代に金物にだけ頼ることが本当にいい事なのかはわかりません。
普通の鎌継よりも10倍の強度があるとされている追いかけ継。揺れで捻れて外れる可能性のある金物よりは実際のところ効くのでは無いかと思います。
これは大工会を主催する構造家のY先生にもお会いした時に聞いてみようかと思っています。
元建て主さん方々の家では、3.11でも、構造体に直接差し込んだ嵌め殺しガラス1枚も割れていないのを確認して居ます。
ですが、手刻みするとそのぶんはコストアップするのかな、それは大工さんが一軒にそれだけの時間がかけられなくなってきているのもひとつの要因かと思っています。
手間が増えれば、時間をかけなければならず、それだけで面倒な事は確かです。
設計も、どれだけ図面を描くか?ですが、描いてもコストアップにつながって出来ない事が多くなれば結局手間をかけたぶんだけ時間給で言えば、損をするということです。
ですが、私は少し手間でもある程度までは自分のためや現場監理に行けない日に、職人さんが見て設計の意図が伝わるように書きたいと自己満足で図面を書いてます。
奈良で国宝や重要文化財の仕事をされている棟梁に数年前に話を聞いて、計算にのらない部分が実は建物の強度に重要だったりするという考え方もあると思いました。
私の周りには大工さんも、数名知り合いが居ますが、刻みの出来る大工さんは、40代の若い大工も居ますが、殆どが50代上です。
どういう考え方があるのか、聞いてみたいところです。
設計者としてはモヤモヤした状態で、やはり予算もありますからコストアップはお施主さんに申し訳ないしなるべく避けなくてはいけない事なので、お施主さんには納得していただいた上で進めるしかないと思って居ます。
で、今は減額案を考え頂いている間に、材積数の拾いを自分でもしてみる事にしました。
垂木数なども、大屋根の部分で60本。下屋の部分は6mの半分の3mの長さで足りるので、20本…細かいと言われてしまいそうですが、正確にする為には必要かなぁと思います。
by atelier-kirara
| 2019-04-09 06:33
| 仕事諸々
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