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光りと風が通る住まい 古民家再生 外周り

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建て主さんがお世話しているお地蔵様。
昔は古い民家の角などによく見かけましたよね。
母によると、昔疫病などが流行った時にその地域の人の健康などを願いこうしたお地蔵様を敷地の角に迎えたりしたそうです。
そういえば、母の実家の敷地の角にもお地蔵様がありました。
お顔を見ているとほっこりします。

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撮影日時2016年5月21日 
どんより曇り空時々晴れ

厚い雲で空が覆われるなか竣工写真の撮影をしました。
(当アルバムは竣工写真ではなく、私が個人的に撮影日に撮った写真です。)
江戸時代から受け継がれてきた建具や欄間、古材等あるなかで当時のものをなるべく残しながらの再生。

建て主さんによると「建て替えか再生か」ということもあったが、事を起すまでの時間がかかったとのこと。
それは私も同じく、初めてご連絡があってから暫く途絶えて数か月後にご連絡頂いて、お会いして現地を観に行き、再生を決断するにはかなりの心積もりが必要でした。

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撮影を建築写真家の輿水進氏にお願いしました。大学のOBでもある輿水さんには学生時代からずーっとお世話になっています。
建築写真家としての視点から色々と助言をいただくのですが、見た目の美しさではない部分で暮らしの部分に焦点を当てたこともお話くださるので、私にとって、毎回勉強になることが沢山あります。
個人の財産で住まいを設計・建設するという行為は、見た目の美しさでは終えられないきめ細やかな「気づきや配慮」が必要なので難しいと云われています。
学生時代は、施設設計は思い描いたように楽しく、住居設計は中々思うようにいかないという苦しさで住居学に籍を置きながら、住まいの設計は向いて居ないのではないか?ととても悩んだ時期もありました。
感覚でモノをつくりあげてしまう傾向があるので、それでは住宅の設計はできないことが独立してようやく気がついたというところです。

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「お施主さんにも職人さんにも、また周りで支えてくれる人に貴方はとても恵まれている」と撮影しながらの輿水さんの話。
本当に、自分でも6年間を振り返ってそう思います。
成長していると言えるのか自分ではわかりませんが、図面を描いただけではおさまらないような今回の仕事ができるようになったということは、とても重要なことだと教えていただきました。

「職人さんが、見えない部分で遊んでいる様子が見える。それは、この現場がとても楽しくて儲け云々無しに遣り甲斐のある仕事だったからだよ。」ということも教えていただきました。

そのような機会を与えていただいた建て主さん、施工をしていただいた職人さん、いつも周りで支えて頂いて居る方や家族に感謝しています。
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竣工から10カ月経ち、下見板の色合いなどが落ち着いてきました。
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インターフォンのカバーはメープルの玉杢で製作。
英国の車、ジャガーの内装などに使われていたりします。
建て主さんの話をお聞きしていたら、イギリステーストがお好きなことがここで初めて解りました。

集めていらっしゃる雑貨やリネン、小物や家具、ビンテージなモノを見ていて、多分・・・という思いはありましたので、それを古い日本家屋の中でミスマッチ無くつくりあげるにはどうしたら良いのかということが課題でもありました。

コミュニケーションをよく取らせていただいたので、私が建て主さんが好きそうなもの。建て主さんは私の好むデザインの傾向を把握できていたこと。また、本物の質感を好むことが共通であったことがトントン拍子に物事が決まっていくきっかけになったと思います。

古い日本家屋や古い洋館は、「設え、テキスタイル、家具(什器)、インテリアなど」本来、私が好きとするものが沢山詰まって居ますので仕事をしていてもとても楽しく感じます。

【今回の再生目的は】
・基礎周りは、何度も使われ、朽ちて役目を終えた古材は取り除き、足元は無かった部分をしっかりと足固めで固めること。
・大黒柱や恵比寿柱は根継を行い、50年以上経った土壁の補修。
・増築されて居たところは壁を落とし、落とし板(校倉)で補修。
・民家特有の田の字(柱や胴差などの構造体になる架構)は一切変えずに、生活の中心が家の中心になるように間取りの変更。
・構造の弱点となる部分は構造検証を行い、耐力、粘るように材を補い、補強。
・増築されたところは減築を行い、構造バランスの検証。
・材は、大工の技量に任せ、無塗装。
・当時から屋根は銅板葺き。傷んだところは専門の職人による補修。
・これから先、100年、200年超えて住み継げるよう、交換やメンテナンスし易い設備機器。

傷んでるからと言って新しくしてしまうのではなく、補修して長く持つものはなるべく残し、余分な手は加えないこと。「役目を終えてお疲れさま。今までよく頑張ったよね!」と思える材は交換しました。
子供の頃の建て主の記憶を辿りながら住み継いで行かれるように。

夜景外観
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改修前外観
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by atelier-kirara | 2016-05-21 06:22 | S邸古民家再生・改修 | Trackback | Comments(0)

アトリエきらら一級建築士事務所 小林輝子


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