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木造の再生

木造の再生_a0129492_562418.jpg古民家の現場では、断熱性能や生活動線などの使い勝手だけでは無く、構造補強(歪み直し、材の入れ替え)を行いながらの作業。
設計の調査段階ではわからなかった部分は壁や床を剥がしてみて写真のような状態なこともあります。特に足固めの無かったこちらの家は貫と土壁が足固めの役割をしていて既存のままでは見えないところが多々ありました。

調査の際に天井裏や床下には潜り、大体の想定をつけて既存図と補強計画は仕上げましたが、実際は工事が始まってからも構造事務所&大工さん達と相談しながら。構造事務所のKさんも調査時、検討中、現場が始まってから何度も見に来られてます。
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柱頭の部分を丸太の桁と合うように丁寧に削っているSさん。繊細で納得できるまで綺麗に加工しています。現場を見て居ると職人さんの個性も色々。皆さん丁寧ですが作業が早い人、時間をかけて仕上げる人。
仕事の持ち分もそれぞれの個性に合わせて作業分担が出来ているようです。一人ではできないことも「皆で」なら出来ますね!
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広縁になっていた下屋の部分は数本が材木自体の耐久年数を超え取り換えの時期にきていました。樹齢300年の材を入れると、300年後に強度が上限に達し、緩やかに朽ちていくといわれています。鉄筋コンクリートも手掛けていますが、その場合メンテナンスしながら30年後には構造補強をするか60年後には解体をするかを考えながら設計を行います。木造の場合は材木の質や樹齢から建物の寿命を考えます。特にこうした古民家のような材が使ってある場合は建替えよりも再生の方向で検討します。
設計側も工事側も手間や時間がかかる為、建替えたほうがもちろん簡単です。ですが、古民家に使ってあるような材は簡単には手に入りませんし、同じように同じ材で作ろうとすれば、建築費がいくらあっても足りません。一番大切なのは、その建物を受け継いできたお施主さんの気持ち。
私のほうでは設計をご依頼された際に「どれだけその建物に愛着がありますか?」とお聞きすることがあります。広すぎること、寒いこと、暗いこと、動線の使い勝手、構造強度が気になるけどやっぱり遺したいという気持ちがあればこれらのことを解消できるような計画を行います。

幸い、木造は古くなったところを構造体の部分から取り換えることができるメリットがあります。
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電気・設備工事のMさんも設備機器を図面通りに納めることが出来るか現場に足繁く通ってくださってます。施工側との連携も、お施主さんの理解も、現場にはたくさんの方の協力が必要です。
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やっぱり、お昼は一日の中で楽しみのひとつ(の若いお2人。<Sさん&Kさん>)
昨日お施主さんところに居たミィちゃんが、陽だまりであまりにも気持ちよさそうに寝ころんで居るのを見て、「生まれ変わったら可愛い飼い猫になりたい」?!とか。
私も時々そう思うことがあります・・・。
設計期間中はお昼などは一人で簡単に済ませることが多いのですが、一緒に食べるの楽しいですね。
by atelier-kirara | 2015-01-21 05:58 | ◆S邸古民家再生・改修 | Comments(0)

日常のこと建築のこと気ままに書いています。気長にお付き合い頂ければ幸いです。アトリエきらら 小林輝子


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